The Time of My Life

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今日もええ日になります様に!

帰ってきたヒトラー

Er ist wieder da
2015年 ドイツ
監督:デビッド・ベンド
出演:オリバー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト、カーチャ・リーマン、フランツィシカ・ウルフ、他

eiga.com

 

アドルフ・ヒトラーといえば、第二次世界大戦を導き、そして大虐殺を行った

大罪人というイメージがかなり強いですが…

この映画はそんなイメージを覆される様な、

そして覆ったこちらの気持ちを責める様なちょっと怖い映画でした。

 

ストーリーとしては、とんでも映画でして、

1945年の自殺後から、2014年の現代にタイムスリップしてきたヒトラーが、

「ものまね芸人」と勘違いされ、

お茶の間の人気物になっていく…というストーリー。

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ヒトラーは、ずるをして総統になった訳ではなく、

選挙で「民衆が選んだ」総統なんですよね。

やった事などは正当化はできませんが、

彼には人心掌握の才能には長けていたのだと思います。

それを映画にうまく盛り込んでいて、

「あのヒトラー」が民衆に受け入れられ、お茶の間の人気者になってしまう。

それに恐怖し、止めようとする人もいるんですが、

結局また親衛隊が出来上がり、

ヒトラーは目的の為に進んでいく…様な終わり方に見えました。

 

劇中、ドキュメンタリーっぽい撮り方のシーンが多々あるんですが、

これは本当に、ヒトラー役のオリバー・マスッチが街に出て撮影しているそうです。

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セルフィーを撮ったり、笑顔で手を振ったり、ナチス式敬礼をしたり…

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ドイツ人でも、ヒトラーに対する意識ってこんなに変わっているんですね。

現代の日本人も、認識は甘いとは思いますが、

なんとなく、ヒトラーの存在ってタブー視されている印象があったので、

とても意外でした。

まあでも、ハロウィーン金正恩の仮装を笑っていられるジャパンですから、

あんまり他所様の事言えませんかね…笑

 

あと、年齢ですかねえ。

劇中、ヒロインのクレマイヤーの祖母が

ヒトラーに向かって激怒するシーンがありますが、

あの世代の人、特にユダヤ人ははっきりと覚えているんだと思います。

一方、クレマイヤーはユダヤ人だけど

ヒトラーに家に泊めようとするくらい好意的でしたし。

 

日本人でもそうですもんね。

悲しい事ですが、やっぱり風化していっているんだなあと思うと同時に、

敵対していた人種同士でも、現代では手を取り合って生きていけるというのは

良い事ではあるよなあ、と思ったり。

 

なんだか、色々な思いが巡る映画でした。

特に日本人は、ドイツと同じく敗戦国であり、

共通する部分がない訳ではないと思うので…

逆に連合国だった国の人たちはどういう目線で見るんでしょう…?

 

今、東京のスクランブル交差点に東條英機にそっくりな人が歩いていたら

手を振ってセルフィーを撮るのか?とか、

そもそも東條だって気付くのか?とか…

うーん、人だかりにもならない様な気がするな…笑

 

いまいち考えがまとまらないですね…

難しい。

 

コメディの皮を被った強烈な風刺映画で、

軽いタッチなのでのんびり見ていたら、カウンターパンチをくらった感じです。

(またこれも、ナチスプロパガンダの様で怖くなったり。)

 

ちなみに、最近やっていた「帰ってきたムッソリーニ」は

この映画のイタリア版リメイクだそうです…

こりゃ、日本も「帰ってきた東條英機」やるしかないのでは…?笑

 

帰ってきたヒトラー(字幕版)

帰ってきたヒトラー(字幕版)

  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: Prime Video